散骨とは、遺骨をお墓に埋めるのではなく、海や山などに撒く葬送で、近年注目されています。散骨にはいくつかの方法がありますが、中でも船で海上に出て行う海洋葬が特に人気があります。従来のお墓に埋葬するという方法にこだわりがなく、自然に還りたい、子供や孫に負担を負わせたくないという人に支持されていますが、ただ、散骨後に個人の兄弟や親族から、お墓は絶対に必要だった、遺骨をすべて撒いたため、祈りの対象がないなど、非難を受けるケースも少なくありません。たしかに、美しい海や山に遺骨を撒くというロマンチックなイメージがあるかもしれませんが、骨を撒くのは一瞬のことで、墓石のように永続的に個人を感じられるものではないため、遺骨を心のよりどころという考え方の人には不向きだといえます。

散骨には、法律上の規制はなく、節度を持っておこなえば、遺骨遺棄罪には当たらないとされています。そのため、近年散骨業者も急増していますが、自治体によっては条例で禁止をしているところもありますから、その地域で可能かどうかを事前に役所に確認しておくことが必要となります。また、どこであっても、上から土をかえれば墓埋法違反となってしまいますし、周囲の人たちの理解も必要ですから、マナーを守ることが大事です。業者に頼まずに個人で遺骨を撒くことも可能ですが、遺骨はそのまま撒くことはできず、細かく砕く必要がありますし、漁場や海水浴場などから離れた場所であるなど、条件をクリアする必要がありますから、注意が必要です。